QK01 年末調整とはなんですか
 年末調整とは、いわば「サラリーマン(給与所得者)用確定申告」のようなものです。個人の所得税申告は自分自身で1年間の給与所得や他の所得を集計して確定申告書を税務署に提出する自己申告が原則ですが、一方で、一般的なサラリーマンの場合給与所得以外には所得がないという事もあり、会社が社員個人の確定申告を代行するように税法で定められています。
 年末調整の「調整」という表現の趣旨は、サラリーマンは毎月の給与をもらう際に所得税が概算で天引きされ会社経由で税務署に納付されています。この概算天引きの1年間の合計(概算額)と、前述の会社が代行する確定申告で確定した金額(確定額)との過不足を調整して年末最後の給与支給の際に精算します。そのため「年末調整」と言います。
   
QK02
サラリーマンは確定申告は不要と聞きましたが本当ですか
 サラリーマンの場合、会社が本人に代わって所得の計算と納税を行いますので(年末調整)、他に所得がなければ確定申告を行う必要はありません。ただし、医療費控除、住宅ローン控除(初年度のみ)がある場合や、不動産の貸付、資産の譲渡、副業による収入などが給与以外の所得がありかつそれが一定額以上である場合にはサラリーマンも確定申告が必要になります。
なお、年間の給与総額が2,000万円を超える場合は必ず確定申告が必要になります。
   
QK03 確定申告をすると年収や所得税額が会社からもらった源泉徴収票に記載されている内容と変わってしまいますが、会社に連絡したほうがよいですか
 会社はあくまで会社が社員に対して支払った給与に対して年末調整を行うところまでですので、その後その社員が確定申告を行い、所得の金額や控除の金額や所得税の金額が変わったとしても会社に報告する必要がありません。
 ちなみに、これは税務的な観点からの話であり、例えば、副業を行っているため給与以外に所得がある場合に副業をしている事を会社に報告する必要がないかどうかとは別の話ですのでご留意ください。
   
QK04 住民税が給与から天引されていますが、会社と区役所との間で何かやりとりがなされているのですか
 会社は年末調整により各社員の年収や所得額を確定させた後、各社員が住んでいる市区町村に対し「給与支払報告書」というものを提出しています。各市区町村はこれをもとにその社員(市区町村からみれば、住民)のから徴収する住民税額を計算して、通知書と納付用紙を会社に配付します。
会社はこの通知書を社員に交付するとともに、その後の毎月の給与から住民税を天引きします。
 なお、その社員が確定申告を行っている場合には、税務署から各市区町村に連絡が行くことになり、各市区町村は会社の「給与支払報告書」と「確定申告書」をもとに住民税を計算します。
 
QK05 確定申告をするとその時の住民税は会社からの天引きではなく、直接本人に請求が来るようになるんですか
 確定申告をしていた場合でも住民税を特別徴収としているのであれば、住民税の決定通知書や納付書は会社に送付され会社から給与天引きされることになります。
 ただし、確定申告の際に「給与所得以外の所得にかかる住民税の徴収方法」を「給与から差引き」ではなく「自分で納付」に○をつけると、給与以外の所得分については本人に通知書と納付書が届くようになります。
 なお、この選択が適用できるのは他の所得に対して住民税が課税される場合(つまり他の所得が黒字)であり、他の所得が赤字であり給与所得と相殺されて所得税や住民税が計算(損益通算と言います)されている場合には、通算後の金額をもとに決定した通知書と納付書が会社に送付されることになりますのでご注意ください。
 
QK06 副業としてアルバイトをしています。会社にわかってしまいますか
 少し長くなりますが、がんばって読んでください。税務的な手続き上、副業によるアルバイト収入がある旨の情報が会社に伝わるかという観点からご回答します。

 会社もアルバイト先も、基本的に社員やアルバイトに支払った給料の情報は「給与支払報告書」という書面で社員やアルバイトが住む市区町村に報告をします。市区町村はこの情報(プラス本人が確定申告をしていればその情報)をもとにその人のトータル収入を集計して納めるべき住民税を計算します。そして、市区町村は計算した結果を通常は会社
※1に報告します。

 会社はこの報告を受け、社員へ支払う毎月給与から住民税を天引きして市区町村に納めるのですが(特別徴収と言います)この時に会社が「自社が払った給与より大きいな」と知ることになります。ただ、会社に知れるのはその金額だけであり、アルバイト先の具体的な名前などまでは知れることはありません。

※1 2か所以上から給与を受けている場合に、どちらの会社で特別徴収を行うか、換言すれば市区町村がどちらの会社に報告をするかについては、原則として給与が大きいほうの会社に報告するケースが多いようです。)

 ちなみに確定申告書の第二表の住民税に関する事項に、給与所得以外の所得の徴収方法を特別徴収とするか普通徴収(会社ではなく本人に直接通知して納税する)とするか選択する欄がありますが、これは給与所得とそれ以外の所得(事業所得など)についての選択であり、会社の給与(本業)もアルバイト(副業)の給与も所得税上は「給与所得」ですので、この欄は考慮さないと解しています
※2。ただ、実務上の事例として、市区町村によっては、普通徴収を選択すれば、よきに計らってくれるところもあったり、個別に連絡して「アルバイトの分の所得(給与所得)は副業なので普通徴収にしてください」とお願いすると対応してくれるところもあると聞いています。


※2 地方税法の抜粋です。複数から給与を受け取る場合が明示されていないので、下線の部分が、「特別徴収を行う会社が支払った分の給与所得(つまり本業の給与))」なのか「上記でいうアルバイト先が支払った分の給与も含んだ給与所得(つまり本業+副業の給与)」なのか解釈がしづらいのですが、立法趣旨は副業がバレないように配慮しているというよりは、給与に関する住民税は会社が徴収、事業所得や不動産所得など個人的な住民税は直接徴収するという事かと察しますし、また、ごく自然に文言を読み取る限りは後者を意図していると解しています。
 しかし、さらにややこしいのは、所得税の確定申告書には「給与所得以外の所得に係る住民税の徴収方法の選択」と表現されており、住民税の確定申告書にもこれと同じ表現を使っている市区町村が多いのですが、一部「主たる給与所得以外の…」という表現を使っている市区町村もあります。

給与所得に係る個人の市町村民税の特別徴収)
第三百二十一条の三

2  前項の給与所得者について、当該給与所得者の前年中の所得に給与所得以外の所得がある場合においては、市町村は、…(中略)…特別徴収の方法によつて徴収することができる。ただし、第三百十七条の二第一項の申告書に給与所得以外の所得に係る所得割額を普通徴収の方法によつて徴収されたい旨の記載があるときは、この限りでない。

QK07 副業として個人事業形態でネットで商品を販売しています。会社にわかってしまいますか
 状況によって税務的な手続き上副業による個人事業の所得がある旨の情報が会社に伝わる場合と伝わらない場合があります。
 個人事業形態で副業をされている場合、その副業に係る損益は「事業所得」として確定申告をすることになります。確定申告の際確定申告書の第二表の住民税に関する事項に、給与所得以外の所得の徴収方法を特別徴収(会社が天引き)とするか普通徴収(会社ではなく本人に直接通知して納税する)とするか選択する欄があります。ここで普通徴収を選択すると、事業所得に係る住民税については本人に直接通知が行くようになりますので、副業(個人事業)による所得がある事は会社に知れることはありません。
 ただし、副業(個人事業)が赤字であると、給与所得(黒字)と事業所得(赤字)をネットした金額をベースに住民税を計算するので、両者にかかる税額をきれいに分けることができず(給与所得は徴収、事業所得は還付するような事はされません)、ネットした金額が会社に通知されることになり、ここで会社に知れることになりますので注意が必要です。さらに、医療費控除や住宅ローン控除など、年末調整では控除できない所得控除を確定申告した場合などのケースでも、この控除を給与所得か事業所得かどちらの所得から控除すべきか判断できず、結果、すべての所得を合算した情報が会社に通知されることになるようです。
OK08 現在はサラリーマンですがいずれ独立を考えており、会社を設立して少しずつ事業を始めていこうと思います。勤め先にわかってしまいますか
 会社を設立すると代表取締役の氏名や住所が登記されます。この情報は誰でも閲覧可能です。会社は法律的には個人とは別の人格として扱われますので(法律上の人→法人)、会社に関する情報が、勤め先に報告・通知されることはありませんし、ましてや会社の利益や法人税、法人住民税などに関する情報がその会社の代表取締役個人(法人と区別して「自然人」と言います)の給与や所得税、住民税などに関する情報と合計されたり、集計されて勤め先に報告・通知されることはありません。
 ただし、設立した会社から報酬(取締役や代表取締役に対する給与は、通常、給与とは呼ばず「報酬」と言います)を払うと、「OK06」にあるように、複数の会社から給与等をもらっている状態になりますので勤め先にわかってしまう可能性が出てきます。

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